子育て支援は、なぜ必要か?
乳幼児期から学童期にかけての
子どもの心に人間に対する基本的な信頼感を育むために必要
です。
「人間ってあったかいな」「大人って困った時は助けてくれるんだ」
「ぼくは、みんなに大事にされているぞ」「わたしは、大切な存在なんだ」
こんな心の声が、一人一人の子どもたちに育まれてはじめて、
その子達が青年期・成人期を迎えた時、「家族を大事にしよう」
「仲間を大切にしよう」「地域社会を良いものにしたい」
「社会をより良くしていきたい」という心につながるのだと思います。

乳幼児期から学童期にかけての人的な子育て環境と言えば、親です。
ですから、親が子どもの心の基地となれるように、
それぞれの親への必要に応じた手助けが、今必要
なのです。
現代社会の子育てへの阻害因子を考えるならば、特別な・限られた親への
支援だけではなく、広く深い支援が求められています。
本気で未来を託す子どもたちの育ちを願うなら、子どもにも・親にも、
心の基地を保障できるように、一緒に考え行動してみませんか?

人とのつながりで安心の子育てへ
        北海道社会福祉協議会発行「明るい社会」NO524号より


子育ての不安と孤独≫
ある町での子育て講演会に招かれた時のこと。
「夫の転勤で乳児を抱えこの町に越してきた私にとって、
育児サークルは私の心の支えです。」
涙声で語る若い母親の訴えを聞きながら、
10年前の自分の姿が思い出された。
平成2年、夫の転勤で生後8ヶ月の娘を抱え白老町に越してきた私。
知り合いのいない土地での子育ては、孤独で不安なものとなった。
公園に出かけても誰とも会えず、少子化の影響をひしひしと感じた。
我が子は愛しい。でも不安や孤独、焦りや不満を感じてしまう。
ついつい我が子と他の子を比べてしまう。
こんな自分はだめな母親なのか。

共感の輪をひろげる
そんな悶々とした気持をどうにかしたくて
『乳幼児の母親の交流の場がほしい』と新聞へ投稿した。
その記事が役場保健婦の目に止まり
「そのような場づくりをしたいと考えていたので、お手伝い願えませんか?」
と声をかけられた。保健婦の物心両面での支援を受け、
育児サークル「トコトコ」が発足した。
育児サークルは、多くの親子に直接会え
「みんな悩みながらも頑張っているんだ」と共感し合えるのが魅力だ。
共感が安心につながり「私もがんばろう」と思える。
地縁によるつながりが薄れてしまったことを嘆いていても、何も変わらない。
新しいつながり方も求められているのだと思う。

ミニコミ誌の声から≫
平成5年からは、子育て通信『心の基地になりたくて』を発行している。
子育て・男女共生・学校教育・ネットワーク・エコロジーなどについての
投稿が中心のミニコミ誌で、現在の会員は全道各地に170名ほどである。
通信を通して知り合った母親から多くの示唆を与えられた。
人間の「心の基地」がつくられる乳幼児期は、親の気持が安定し
「安心の子育て」が保障される事が大切である。

しかしながら、子育てが辛くて子どもに体罰や心罰を与えてしまう母親は
孤独であり、「私1人で子育てするしかない」と思ってしまう状況にある。

父親も悩んでいる≫
反対に身近に「いっしょに頑張ろう」と支えてくれる
夫や友人がいる母親は、心が安定しやすい。
「安心の子育て」の基盤づくりには、
父親の子育て参画と、子育て支援の充実が急務であると
考えるようになった。
そこで始めたのが、平成8年『子育て通信・父親版』である。
父親版には次のような父親の本音も届く。
「子どもが乳幼児の時期は、仕事が一番忙しく競争も厳しく
責任もある時期でした。残業・残業の連続で家にはただ帰って寝るだけ、
子どもの顔も見られないという日々。仕事のプレッシャーで
精神的にも相当まいっていることも度々でした。」(父親版より)
乳幼児のいる父親の子育てを保障することを社会全体で本気で考えたい。

きめこまかい支援が必要
一方、子育て支援を網の目のように張り巡らすことも重要である。
「主人の転勤で新しい土地であるN村に引っ越しました。
ここN村では子育てサークルが今年7月発足し
、また村の事業として保育所に子育て支援センターがあります。
(略)つまり、とっても充実していて自分の都合に合わせながら利用できて
すごく良いのです。子どもにとってもお友達と遊べる機会が多々あって
本当に良いのです。こちらに来てから、楽しいと思えることが多くなりました。」
(通信より)

親達自身が出来ること≫
子育て支援へのニーズは、個々の家庭のあり様により多岐にわたる。
そのため、支援の内容は多様でなければならない。
行政の施策に期待すると同時に、当事者である私達も
自分の出来ることから行動することが望まれる。
「親として成長……していないなあと思います。でも少しだけ『変わったかな』
というのが、@自分がかつて味わった苦しみを今味わっている人達に
手を貸したい。A子どもが育っていく場を他の人と一緒につくりたい。
と思うようになったことです。
子どもを持つまでは自分1人の努力でなんとかなったけれど、
子どもを持ってみると『助けたり助けられたり』の人間関係の
大切さをしみじみと感じています。」(通信より)

子育てや地域での生活を通して芽生えた社会公共的な問題意識を
自分の中に閉じ込めず、人とつながりながら解決したい

考える女性が増えているのである。

支援の受け手から担い手へ≫
白老町でも、平成10年に、子どもの個人託児と集団託児を行う
託児グループ「ぽっぽ」が誕生した。
「ぽっぽ」の個人託児は、以前から行われていた白老町社会福祉協議会の
住民参加型サービスの内容を拡大していただく形で実現した。
これまで支援を受ける側だった母親が、
支援の担い手として地域づくりに参画している。
以上が、10年にわたる子育てのネットワークづくりから学んだことである。
孤独・不安・競争の子育てを克服して「安心の子育て」を実現するために、
新しいつながりの構築が、今求められているのではないだろうか。
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