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事例発表
白老町育児サークル「トコトコ」の活動 ●子育て通信 代表 中谷通恵
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白老町に住んで7年間、この7年間の間に子育てサークル「トコトコ」や子育て通信の活動を通して、行政の方を含めてたくさんの方とつながり、また、助けられてまいりました。今日は、今までの活動の中から、私なりに市民と行政のパートナーシップについてお伝えできたらと思っています。 はじめに、なぜ育児サークルが今このように求められているのか、その背景についてお伝えしたいと思います。
1・57ショックといわれた平成元年の頃から、北海道でも育児サークルが少しずつ結成し始めました。戦後の50年、世の中が、核家族化、少子化、都市化するとともに、価値観が人より贅沢な暮らしをとか、人より豊かな生活をというふうに向いてきたことがよく取り上げられ、そんな中での子育ては、どうしても人よりよい子育てを目指すことになり、親にとっても子供にとっても、大変つらいものになっているようです。
まず、1番目の母親の悩み、これはたまたま主に今は母親が子育てをしているので母親としたのですけれども、孤独、不安、不満、焦燥、混乱、諦めなどの気持ちは、私自身の経験を含めまして、サークルや通信で知り合った母親たちの声を代弁したものです。
先日、このようなことを話された研究者の方(男性)がいました。「自分が自分の子供が3歳までの間に2人きりでいれる限度の時間は2時間だ」って言うんです。子供は次から次と後始末をしなければならないことをしでかすし、ひとたびごろつかれると、どう対処してよいかわからないという話でした。私たち母親は、24時間そういう子供と付き合っていまして、当たり前と言えばそうなんですが、新米の頃はこの男性と多少の違いがあっても、同じような気持ちだと考えて欲しいのです。
生まれて初めて抱いた赤ちゃんが、自分の子供だというお母さんが今は本当に多いわけです。私たち母親もいろんな悩みの中で、子育てしているわけですが、皆多かれ少なかれ同じ気持ちを持っていながらも、子育てが楽しいという人と、辛いという人がいます。で、どこにその違いがどうして出てくるのかと考えてみますと、人とつながって子育てをしているかどうか、そこにあるのではないかと思います。 子育て通信などをしていますので、私のところにも個人的に悩みの相談などに来ますが、そういうお母さんは、例外なく孤独で自分一人でがんばらなくてはという状況におかれています。逆に言うと、夫としっかりつながって子育てしている人、仲間としっかりつながって子育てしている人は、悩みや不安も大きくならずに子供を愛しいと思えるし、また、親としての自分自身も成長させていけるようです。そういう意味で育児サークルというのは、地域の中で若い母親たちが人とつながるための窓口として、大きな役割を果たしているのではないかと思います。 次に、育児サークル「トコトコ」の実施内容については、私は下の子供がこの春入園したので、「トコトコ」は卒業していますので、OGとして報告させていただきます。
サークルは月2回、2会場に分かれて開かれています。4月1日現在、会員は親子69組で150人に上っています。
育児サークルの活動は、対象年齢が低いので、子供に何かをやらせるというのではなく、親子で一緒に楽しめる内容や、親同士の交流が中心になっています。例会では、特に親子二人、家では出来ないようなことを取り入れています。
「トコトコ」は、代表や世話人だけが運営に関わるのではなくて、会員全員がいくつかのグループに所属して、そのグループごとに企画・運営しています。小道具なども、当番に当たったお母さん方が事前に集まって準備するわけです。
季節の行事のクリスマス会は、お父さん方の参加も結構あり、サンタクロースもお父さんが扮してくれています。
私が個人的に胆振管内の育児サークルのリーダーさんにアンケート調査したことがあるのですが、平均で一つのサークルで、25組ぐらいの人が一つの場所に集まって活動をしています。乳幼児が4,5人集まっただけですごくにぎやかなのに、一つの場所に60人も70人も集まって何かをしていくということは、お母さんたちにとっては声も通すことが出来ない、大変な中で運営していることがわかっていただけるのではないかと思います。
そのほか最近の活動としましては、保健婦さんに託児をお願いしている間に、子育ての講演会で学習をしたり、フリーマーケットをしたり、老人ホームの慰問、使用済みテレカ・古切手を送るボランティア活動もしているそうです。
それから白老の町内には、子供に関わる活動をしている団体がありますが、たとえば、読み聞かせの会、親子劇場、親子体操などのグループとの交流も少しずつ始まっているようです。 実際の参加者に育児サークルの良さを聞いてみますと、次のような良さをあげています。親子とも友達が出来た、実際に親子と会えることで悩んでいるのは自分だけじゃないと思えた、少し先輩のお母さんから子供の接し方など学ぶことが出来る、サークルの代表や世話人をすることで充実感があるなどです。
次に「トコトコ」を通しての行政とのパートナーシップについて考えてみたいと思います。 白老町の育児サークルは全道的に例がないほど、地域に根ざして活動していると思われます。なぜ、地域に根ざして活動してこれたかを考えてみますと、私たち母親と行政、「トコトコ」の場合は、保健婦さんとしっかりパートナーシップを結んでこれたからではないかと考えています。それでは、なぜ行政とこのようにしっかりとパートナーシップを結んでこれたかと考えてみますと、第1に住民の声、私たち母親の悩みをまずしっかり受け止めてくださったということです。
「トコトコ」が結成された今から5年前は、3歳以下の子供が集える育児サークルはほとんどありませんでした。そんな中で、この活動を政策の一つとして取り入れてくださったことは大変先駆的であったと思います。そのころは、乳児検診などで母親の方から転勤してきて友達がいないという声が上がってきたり、乳幼児の母親の交流の場が欲しいと新聞に投稿した母親がいたりし、その新聞に投稿した母親が私なんですが、その新聞に記事が掲載されたその日の内に、保健婦さんから電話をいただきまして、「私たちもそういう場を作りたいと思っていたので、是非協力していただけませんか」というお話でした。その保健婦さんも育児休暇が明けてすぐということで、先ほどの母親の悩みの所を深く共感してくださっていたわけです。
私は、自分が発信した悩みが、思いも寄らず行政の方に受け止められたということが、非常にうれしくて感激しまして、そのときから白老町が大好きになりました。 後ほど講演をしてくださいます田村先生の本に、こういう事が書かれていました。 「まちづくりにはもちろん、お金も必要であるが、それだけでなく心、センス、知恵、努力、愛情、勇気、協調などの様々な要素が加わらなければ決してよいものにはならない。また、お金が現在なくても、まず、心か知恵を出し合っていくという方法もあるだろう」というのを読みまして、あのときの保健婦さんはまさにそういうことを実践されたのだなと思いました。 それから、地域に根ざしてきている第2ですけれども、サークルとして軌道に乗ってからでも、いつも何か問題が起きると保健婦さんがともに悩み、そして解決するために心と知恵を働かせてきてくださったことだと思います。
結成当時から2年ぐらいの保健婦さんの稼働量については、自主サークルとして軌道に乗ってからの稼働量は減ってきていますが、全くゼロになることはありません。その時々でより関わりを持っていただきたい時は、ケアがあるわけです。
これからますますサークルが、地域に開かれて、そして根ざしていくためには、「つながる」という言葉が一つのキーワードになっていくと思います。サークル内の人と人のつながりはもちろん、自分たちだけのサークルがよければいいというエゴに陥らずに、他の活動をしている人たちとともに地域を作っていくという、そういう視点が大事になってくるのではないかと思っています。
子供が幼いときに作られたネットワークは、これから時間が経過していく中でまた新たに抱える課題、たとえば教育のこと、病人のこと、老人の介護のこと、また自分自身の老後についてもこの先大きな力になっていくのではないかと思っています。 つながるということで、行政の方に強く希望しますのは、行政の中の横のつながりです。縦割り的な考えではなくて、たとえば今の場合でしたら、子育てとか親育ちの部分に関する施策を総合行政的に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、私個人の活動で恐縮なのですが、子育て通信を通しまして、まちづくりについて考えさせられたことについて話をさせてください。
子育て通信というのは、投稿が中心のミニコミ誌で、3ヶ月に一度発行しています。現在会員は、全道に130人ぐらいおります。
子育て通信の活動をして3年以上経ちますが、半年ぐらい前から、是非いろいろな問題を母親以外の人にも足を運んでもらい考えてもらえる機会を作れればという思いに駆られまして、講演会を企画いたしました。それが、子育て通信の参加者の若いお母さんたちだけで、実行委員会を作り、地域の人たちやマスコミの協力も得ながら今月の8日に無事終えることが出来ました。
子育て通信で知り合ったたくさんの母親たちの思いをこの場を借りて代弁するならば、女性が望んでいるまちづくりというのは、生活者の視点でのまちづくり、社会的に弱い立場にある人の視点に立ったまちづくりであって欲しいということです。私たち子育てや老人の介護を当然のように背負わされているものから考えますと、日々いろいろな悩みや辛いことが起きてくるわけです。ですから、そういう悩みの中から課題を政策として作っていただきたいと皆強く願っています。
乱暴な言い方ですが、元気のある人だけが集まってイベントをするというだけのまちづくりでは、少々片手落ちではないでしょうか。
森先生の本にも書かれていましたが、都市型社会の市民生活における課題を解決していくことがこれからの自治体のまちづくりであるとすれば、もっともっと生活者の視点に立つことが望まれると思います。
私自身、子供が生まれるまではずっと働いてましたので、そういう立場に立って初めて気がついたことなんですが、社会的に弱い立場にいる人の悩みや不安というものは、その立場になってみないと、また、それを近くにいて感じる感性がないと共感しづらいと思います。ですから、まちづくりに関わる方には、ご自身が生活者として過ごす時間をもっと大切にしていただきたいと思いますし、また身近にいる家族や地域の人たちの声に敏感であって欲しいなと思います。私たち生活者の側も、自分たちの出来るところから、主体的にこれから関わっていけたらなと考えています。
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