こんな助けがほしいのです
平七郎じいちゃんのこと(50代の女性に教えていただいた話)
幸子さん(仮名)は、約30年前の自分の子育てを苦笑しながら語ってくださいました。
 私は、働く母親でした。家には主人の父親である平七郎じいちゃんが同居していました。平七郎じいちゃんは、孫(息子)をたいそうかわいがってくれました。その息子が、20代後半の今になってこんなことを言ったんです。
「ぼくも、今までの人生の中で、何回か挫折しそうになったことがあったけれど、途中で何もかも投げ出したくなった時、そんなぼくを踏みとどまらせてくれたのは、じいちゃんの、平七郎じいちゃんのあったかいひざだった・・・あの膝に座った思い出が、ぼくを支えてくれたように思う・・・」と。
 そのはなしを聞いて、息子が小さかった頃の自分の子育てを思いだして、胸の詰まる私です。
 働く母親だった私は、「母親が働いているからあの子は、だらしない」と言われたくないという思いから、しつけなどについて、かなり厳しくしていました。いつも家にいる平七郎じいちゃんは、庭の仕事をしたり、簡単な大工仕事をしたりしながら、よく、息子と遊んでくれました。息子が、ブランコがほしいといったら、なんと、家の中にもブランコを作ってくれるほどでした。ですから、息子は当然のようにじいちゃんになつき、母親の私は、うらやましく思いました。「こんなに甘やかして」という思いもあり、ますます、私は息子に厳しくなっていきました。
 息子が小学校の低学年の頃、何かのことで息子を正座させ説教をしていたことのことです。1時間くらいも息子にガミガミと説教をした後に、平七郎じいちゃんに用事があり、家の中を捜しました。すると、じいちゃんは、物置の中で大工仕事をしながら、なんと、泣いていたのです。そして、私に諭すように言いました。
「幸子さん、あのな、子どもを長い時間怒っちゃあいけない。せいぜい、しかっても5分くらいだよ
子どもの心に染みていくのは・・・・それ以上になったら、反省するどころか、恨みや憎しみの心で一杯になるもんだ。」そういいながら、涙を流していました。私は、その時は、何を言っているの。私だって必死なのに!という思いでしたが、その後、子どもの(人間の)心がどのように動いていくのか知るにつけ、この時の平七郎じいちゃんの言葉が、胸をさすのです。
 そして、30歳近くになった子どもが、今でも、平七郎じいちゃんの温かさを心の支えにしてくれていることを思う時、本当に子育ては、母親だけではない、いろいろな人の愛で行われてほしいと思うのです。
 自分の子どもの子育て,特に1人目の時は、親に、余裕もなく自分の思い通りにしたい気持が先行しがちです。
 そんな時、近くにいる祖父母の方が、子どものはなしをゆったり聞いてくれたり、遊び相手になってくださったら、子どもにとって幸せなことだと思います。
 この平七郎じいちゃんの時代は、おもちゃやお菓子もあまりなかったでしょうから、手作りの遊びものを作ってくれたり、やさしく膝に抱っこしてあげることしかできなかったのかもしれません。
 でも、それこそが、子どもの心の発達にプラスに働くことなんですよね。今の時代は、買ってあげるものがすぐ側にたくさんあるので、ついついそれを買って喜ばせてあげたくなります。
 親も同じですが、お金を使わないで心と体を使って孫と過ごしてくれるおじいちゃんおばあちゃんは、最高の手助けになってくださるのではないでしょうか。

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